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葛(クズ)という雑草
日本原産である葛(クズ)という植物。なんとも厄介な雑草であり、アメリカでは日本から渡ってきた侵略的外来種として「グリーンモンスター」の異名をもつ強害雑草として扱われている難防除雑草です。刈っても取っても反発して増えていきます。
近くにある木などに“からまって”は覆いつくして、最後には日光をうばって枯らしてしまいます。
そして、臭いカメムシも葛が大好き・・・
カメムシの一種「マルカメムシ」の食草でもあります。
他にもマメコガネ、コウモリガなども招きよせます。
目的はいかに・・・?
地球征服?
それはさておき、日頃、わたしがこの葛を根絶やしにしている方法をご紹介していきます。
この記事を読むと、” 葛(クズ)を根絶やしする除草の方法”を知ることができます。
葛(クズ)はどういう植物
敵をやっつけるには、まず敵を知ることからはじめます。
葛の読み方
「葛」とは、「クズ」と読みます。
葛(クズ)の漢字の書き方
葛は、下記の通り「人」が入っています。
葛
「葛」とうい字は、「つづら」や「かずら」とも読むことができます。葛の蔓(つる)を用いて編んだカゴは「葛籠(つづら)」といいますが、これは葛以外にもツル性の植物(オオツヅラフジやアケビなど)からも作られていました。
葛(クズ)の情報
学名:Pueraria lobata (Willd.) Ohwi subsp. lobata
分布:東アジア温帯地方
分類:マメ科クズ属、つる性広葉多年草
別名:裏見草(うらみくさ)・・・葉のウラがひるがえったとき、よく白さが際立って見えます。
利用:
里山が活用されていたころは、有用な植物として様々なことに利用されてきました。
かつては葉は飼料に用いられたり、食用として葛湯や葛餅、葛切りなどの「葛粉(くずこ)」として活用されていました。奈良県吉野町産の「吉野葛」が有名です。これは葛の根から採れる「クズデンプン」からできています。
また、根の周皮をのぞいた根は「葛根(かっこん)」といい、漢方薬に用いられます。「葛根湯医者」という落語の噺で、なんでもかんでも患者に「葛根湯」を処方するのでこういうお題目がついているのですが、その適応範囲の広さを例えているともいえます。
また、つるの靭皮繊維を織り上げてできた「葛布(くずふ)」という布が静岡県掛川市の「掛川手織葛布」で有名です。
葛(クズ)の特徴
葛(クズ)の花
万葉集「秋の七草」のひとつで、7月下旬~9月中旬に濃い紅紫色の花を咲かせます。蝶形で花序に房のように密集して咲いています。上の花弁の基部に大きな黄斑があります。花は下から上に咲いていきます。ブドウのような香りがあり、クマバチがよくやってきます。
葛(クズ)の花言葉
葛の花言葉は、「努力」、「芯の強さ」、「活力」、「治癒」、「根気」。
葛(クズ)の効能
葛(クズ)の根は、カッコン(葛根)といわれる生薬となり、漢方薬では「葛根湯」が有名です。解熱や鎮痙のために使用されています。また、花は「葛花(カッカ)」といわれ、二日酔いの予防に用いられます。
葛(クズ)の別名
「裏見草」ともいいます。これは、葉のウラ面が白く、風でチラチラと白色が目立つためと言われています。その「裏見」と「恨み」を掛けた歌が詠まれています。
“秋風の 吹きうらかへす くすのはの うらみても猶 うらめしきかな” (平貞文)古今集
葛の花言葉として「怖い意味」で使われているわけではありません。
葛(クズ)の見分け方
葛の葉っぱは、大きな3枚の葉(小葉)が1セットでできる葉です。
小葉が集まって1つの葉であり、「複葉」といいます。
葉のウラは白く目立ちます。
葉と茎(蔓:ツル)の付け根はプクッと膨らんでいます。
葛の蔓(つる)は、金色の毛が多く生えており、地面を這います。
その長さは10~20mにも及びます。
葛(クズ)の繁殖
10月ごろに豆のように毛が密生した“さや”を付け、そのなかに小さな豆が入っています。
これが「種子」となります。
しかしながら、発芽をあまりしないため種子による繁殖はあまり得意でないようです。種子よりも「匍匐茎」によって広がります。その茎は、長いものでは20mにも達します。そして、その節ごとに「芽と根」の1セットを次々と出していくため、着実にその範囲を広げていきます。
まるで次々とパラシュートを広げておりてくる「落下傘部隊」のように・・・
葛(クズ)を枯らす除草剤
さて、葛の素晴らしさとその生命力を知ったところで、葛を除草剤で枯らす方法を紹介していきます。そのまえに、「葛が生えている場所」で対策が変わりますので、そこを踏まえてお伝えします。
葛(クズ)のみが生えている場所
対象となる場所に「葛のみが生えている場所」で、残す必要がある植物がない場合について使用できる除草剤をご紹介します。これらは、茎葉処理、つまり適正な希釈と使用方法で「葉や茎の地上部に散布」します。とても簡単な方法です。
以下の除草剤を使用します。
・ラウンドアップマックスロード
・ザイトロンアミン液剤
葛(クズ)以外の植物も混じって生えている場所
対象となる場所に「葛に交じって”残さないといけない植物”が生えている場所」で使用する除草剤は次の通りです。
広葉雑草は不要だが、イネ科植物は残したい場合
・ザイトロンアミン液剤(使用時期:4月~10月)
この2つの除草剤は、法面保護の観点からイネ科植物は残したい場合に、クズと広葉雑草を枯らすのに用います。また、「理研ショートキープ®液剤」のスゴイところは、イネ科植物に対して成長抑制作用があり、草丈の伸びが抑えられて草刈りが軽減されます。
樹木などが多くある所
こうなるとかなり手間が必要となってきます。
クズの株元をねらって、ピンポイントで処理する必要があります。
・ラウンドアップマックスロード
・ザイトロンアミン液剤(使用時期:11月~5月)
地際に近い株頭の部分に“剪定ばさみやナイフなど”で傷つけたり、えぐったりして切り口に適正に希釈した薬剤をハケなどで塗るか滴下します。または地際近くの茎を切断して、切り口に同処理を行います。この株元をさがす作業は、人がおこなうため「見つけ損ねることが多々ある」ので何度かにわたって根気強く行う必要があります。
・ケイピンエース(使用時期:萌芽期~生育期)
株元に薬剤のついた尖ったピンを刺すタイプ。時期を選ばず使用できるので、地上部が枯れて株元が見つけやすい冬に作業ができるのがいい。しかしながら、成分が水に溶けやすくスギ、ヒノキが近くにあると薬害を及ぼすので注意が必要です。また、株元にピンを刺そうと思っても皮が固くて刺さらないことが多いので、ドリルや穴をあける道具が必要です。
・クズコロン(使用時期:4月~11月)
こちらは、株元の茎を切断して、株頭にプッシュ式のボトルから「1滴」垂らすだけの処理なので、先に紹介したピンで突き刺すタイプよりかは、はるかに楽で効果的です。しかも、1滴で効果てきめんです。
“とっておき!の「散布して枯らす除草剤」”
・サーベルDF(使用時期:雑草生育期※7月~9月が効果的)
リンク
樹木などが多くある所でも、樹種によっては使用できる可能性のあります。
作物名には「樹木等」と記載されており直接かけるものではありませんが、「樹木に対して比較的安全性が高いこと」が特徴です。
私が使用したのは「ヒラドツツジ」にかぶさったクズに上から散布しました。ヒラドツツジの葉に薬害なのか“黒い斑点”が生じていましたが、1年後には消えていました。クズは、1度薬散して枯らすと翌年からは生えてきませんでした。これには驚きです。土の中の根まで枯殺したということです。
まだ、他の樹種には試したことはありませんが、かなりの労力削減と景観が向上したので大きな価値がありました。注意点は、一部の支障のない小面積で試しに散布して2ヵ月は様子をみてみることです。薬害で樹木が枯れても自己責任ですから、失敗したくなければ気長にテストすることが大切です。
豆のような“さや”が出来始めるころから、地下へ多量のデンプンを根に蓄えはじめます。この時に散布してやると根まで薬剤が到達しやすいのかよく枯れます。展着剤は、除草剤専用展着剤「サーファクタントWK」を混ぜます。
イネ科植物(日本芝や一部の西洋芝)は枯れませんので法面でも使用できます。
効きだすのはかなり遅く20~40日と忘れた頃にクズが弱ってきて枯れていきます。あせって撒きなおしたりしないように注意が必要です。
今回の記事は以上となります。
とても有用な植物でありながら、かなり厄介者の葛(クズ)を除草剤で枯らす方法をご紹介いたしました。
各薬剤に関しては、しっかりとSDSや使用方法を読み、適正な容量を守って使ってください。
それでは、また!!
参考資料・文献 ↓
・世界の侵略的外来種ワースト100及び特定外来生物・要注意外来生物との対応関係
・生薬単(ショウヤクタン)―語源から覚える植物学・生薬学名単語集 単行本 –
2018/2/9 伊藤 美千穂 北山 隆 (監修), 原島 広至 (著)