森の木々は、誰からか肥料をもらっている?
お礼肥・寒肥・元肥・・・
人はいろいろな時に、肥料を植物に与えています。
だけど、森の木々は誰からか肥料をもらっているのでしょうか?
そう考えると、普段私が行っている施肥は本当に必要なのかな?って思いませんか?
・あれ?肥料って必要なの?
・自然に放っておけばいいんじゃないの?
・肥料があるけど、本当に肥料っているのかな?
本来、森林など自然に生息している植物たちには肥料は不要です。
正確に言うと、“人からもらう肥料”は必要ありません。
では、人からではなくて、誰からもらっているのでしょうか?
それは・・・
自分達自身です。
?
それをこれから説明します。
大切なのは「自分たちの落としモノ」
日本の森林では、落葉が1haに年間3~4t落ちてきます。
厚さにして5cmほどです。
これらは、ミミズ・ダニ・きのこ・カビ・微生物などの働きによって分解されます。そうして、土壌中の水に溶けて養分となります。
木にとって、自分たちで落とした落葉・落枝・樹皮はとても大切な養分となるのです(自己施肥)。
植物と土壌で養分が循環している状態(養分循環)であり、森林内ではこの量が圧倒的に大きいことが特徴的です。
もちろん、それ以外にも外部からの養分供給があります。
雨、埃、鉱物・・・それに、空気中にある潤沢な窒素を土に取り込むことができる微生物(空中窒素固定細菌)からなどです。
人が「たいせつな森の落としモノ」を掃除する
一方、人はキレイな景観を求め、落葉清掃をする・・・
“人にとって、やっかいな落葉や枯枝などを取り除く”ことで養分循環が断たれてしまいます。
この失った養分を、あえて人はこれを“施肥”という形で補っています。
施肥をする人間が、施肥の原因を作っているということになります。
なので、
人が、落葉や落枝を掃除しているから施肥が必要となる。
と、いうのが答えとなります。
しかしながら・・・
落ち葉は、人々にとって「地面が滑ってあぶない」とか「排水溝に詰まってしまう」、「病害虫の住処になるのでは」・・・など生活に支障があるものとして掃除してしまうわけです。有効に活用できる方法を今度記事にしてみたいと思います。
それでは、また👋🐓…
(参考) 窒素循環の場合
養分供給=落葉・落枝(20-50kg/ha)+雨など(10kg/ha)
養分消費=樹木養分吸収(40-100kg/ha)+流出(~5kg/ha)
参考文献
- 「最新・樹木医の手引き(改訂4版)」一般財団法人日本緑化センター
- 「土の100不思議」 社団法人日本林業技術協会編